photoshoot2回目
前回与えられたテーマ 3kgやせること
(エルザとNAOKIがテーブルをはさんで会話)
NAOKI:フィッティングしてみようか。
エルザ:今日は着れますよ(笑)
(メイクルームに入る)
(ブラックデニムのスキニージーンズで登場)
NAOKI:凄い!4kgくらい痩せたの?
エルザ:6kgですよ!
NAOKI:この前じゃ履けなかったよね。ところでどうやって痩せたの?
エルザ:炭水化物は一切抜きました。タンパク質はちゃんと取って、適度に運動しました。
NAOKI:素晴らしい。3kgは、ひょっとして難しいかなと思ってたけれど、その後は大変だったよね。
エルザ:周りの人に顔が変わったよねって言われました。
NAOKI:そうだよね。あごのラインが随分変わって綺麗になってきたよ。
(スタイリスト濱内奈々子登場)
濱内:デニムはいっぱい持ってきているので、それも全部サイズは小さめです。前回の事を考えて、今回は履けるかどうかも大事なテーマなので。
NAOKI:それじゃ、先にエルザ自身がアイテムを選んで欲しいね。それにヘアメイクも自分で最初に考えて、
NOBU(ヘアメイクアップアーティスト)に指示してくれるかな?
(エルザ、フィッティングルームから白のタンクトップとブルーのデニムをピックアップ。それに黒のハイヒールを合わせる。)
NOBU:それじゃ、どういう風にします?
エルザ:今年のトレンドカラーでやって欲しいんですけど。
NAOKI:そうじゃなくて、今日はエルザがこのスタイリングに合うヘアメイクをオーダーしてくれないと。大事なことは、スタイリングとヘアメイクが一体化していることが、先ず基本。それをエルザ自身が、どこまで理解しているかを知りたいんだ。
エルザ:分かりました。じゃあ、クールな感じだけど目がパッチリ。ベースメイクはスキントーンを活かすようにお願いします。
NAOKI:NOBUには申し訳ないけど、今日はエルザの指示通りにやってもらいたい。技術に徹して欲しい。
NOBU:はい。わかりました。
(NOBUとエルザ、メイクルームに入る)
シーン2
(スタジオにNAOKI、エルザ、NOBU、濱内が移動)
NAOKI:どう撮りたい?
エルザ:この辺の感じで。(上半身を身振りで指し示す。)
NAOKI:全身じゃなくていいの?
エルザ:それも後で。
NAOKI:それじゃ何枚か、エルザの言うように撮ってみよう。
(エルザの動きに合わせて無言でNAOKIがシャッターを押し始める。)
シーン3
(モニターの前に全員集まる。)
NAOKI:どう思う?
濱内:上のチョイスがいまいち。せっかく痩せたのにタンクトップが大きすぎて、それを隠しているし、デニムももっとロールアップするかしないと全体に中途半端な感じがする。
NOBU:チグハグしているような気がします。
濱内:表情も違う気がする。
NAOKI:エルザが選んだスタイリングは、ハードでロックでストリートな感じなんだから、ヘアが違う。アップにしたヘアが綺麗すぎて、服と合っていない。
(エルザ大きくうなずく。)
NAOKI:エルザが選んだ服の世界感を活かすことにして、ヘアを変えてみよう。スタイリングは基本的に変えないで、ベルトだけ着けてみて。ヘアはダウンで、タンクトップはパンツインで。
シーン4
(再度スタジオに移動)
NAOKI:ヘアをもう少しラフにして、出来れば手ぐし感が出るように。
濱内:ロールアップのバランスを変えてみる?
NAOKI:ここに足を置いて。
(エルザ、大きい白のstaircaseに右足を乗せる。)
(NAOKI、両手と頭の位置を具体的に指示。何度も位置の確認をしながら2度シャッターを押す。)
シーン5
(再度モニターの前で)
エルザ:自分が選んだ服なのに、こんな風にはまだまだ自分では出来ない。
NAOKI:簡単に撮ったけど、これで初めてスタイリングとヘアメイクの一体化。そして、エルザ
の生きている時代の世界観が出たよね。ファッション写真の考え方とは、その時代を表現してい
ることが先ず大事で、今回はエルザが選んだ服であり、メイクとヘア、それをエルザが着て写真
に収まっているんだけど、最初の写真はバラバラな感じで、今を感じない。モードというのは、
今の時代を感じたところから始まっていて、時代に寄り添ったところに人々は何かを感じるので
あり、そこを意識して服を選び、ヘアメイクをしなければいけないと思うよ。最初のヘアメイク
、それ自体は美しいし、選んだ服も、今の流行のアイテムだけれど、そこで写しているエルザの
写真は、カタログ的で説明的なものとしてしか人には伝わってこない。プロのモデルは、趣味や
好みで服を選んで着る仕事ではない。着た瞬間から、その時代の女の子が共有する気分や感動、
そして美しさが表現できないと本当のプロとは言えない。その為には、もうひとつの技術を手に
入れるのはもちろんのこと、今の時代を哲学する心が必要だと思う。
NOBU:恐さを感じました。同じ服を着ていても、こんなに変わることに恐さを感じたし、表現することの深さによって、こんなに美しくなるんですね。